事業承継の検討順序を整理した図版。後継者の決定、自社株の評価、渡し方の選択、事業承継税制の期限、承継後の手続きという流れを並べたもの
齋藤嘉彦税理士事務所

事業承継のよくある疑問 「まだ早い」と思ううちが いちばん手が打てる時期です

何から決めるか、税制を使うべきか、株をどう渡すか。
ご相談の多い30の疑問に、結論から順にお答えします。

事業承継の相談で繰り返しお尋ねいただく論点をまとめました。事業承継税制の特例措置には期限があり、計画の提出は令和9年9月30日まで、株式の贈与・相続は令和9年12月31日までです。使うかどうかを含めて、判断の材料になる形で書いています。

2026年9月時点の法令にもとづく記載 自社株の評価から手続きまで一貫 オンライン面談に対応

Summary

先に、要点を三つ

細かい話に入る前に、このページで申し上げたいことをまとめました。

  1. 01

    事業承継税制の特例措置は、特例承継計画の提出が令和9年9月30日まで、株式の贈与・相続が令和9年12月31日までです。計画を出しても、実際に使うかどうかは後から決められます。

  2. 02

    事業承継税制は税金が消える制度ではありません。猶予されるだけで、要件を外れれば利息を付けて納めることになります。使わないほうがよい会社もあります。

  3. 03

    自社株の評価額は、決算の内容によって年ごとに動きます。渡す時期を選べること自体が、事業承継における最大の打ち手です。

Cases

こういった場面で、
ご相談をいただいています

  • 01

    「そろそろ考えないといけないが、何から手をつければよいか」

    まず自社株がいくらになるかを計算します。金額がわからないままでは、贈与にするか相続にするか、制度を使うかどうかも決められません。

  • 02

    「事業承継税制を勧められたが、判断できずにいる」

    使うべき会社と、使わないほうがよい会社があります。制度を使う場合と使わない場合の税額と手続きを並べてお出しし、そのうえでご判断いただきます。

  • 03

    「後継者がいない。廃業しかないのだろうか」

    廃業とM&Aでは、手元に残る金額も、従業員と取引先の行き先も変わります。決めてしまう前に、数字で比べてください。

Contents

この30の疑問に、お答えします

気になるものから読んでいただけます。各項目は、最初の一文で結論を申し上げる形にしています。

Q1–Q6

何から決めるか

  1. Q1

    事業承継は、いつから準備を始めるべきですか。

    株を渡し終えたい時期の、5年から10年前です。事業承継税制を使う場合は、後継者が3年以上役員である必要があるため、さらに前倒しになります。

    準備に時間がかかるのは、税金の手続きではなく、後継者が経営者として認められる過程です。取引先や金融機関、社内の信頼は短期間では移りません。

    税務の面でも、株価が下がる年を待つ、退職金の支給時期を合わせる、といった打ち手は、時間があるほど選べる幅が広がります。急いで決めた承継は、たいてい高くつきます。

  2. Q2

    後継者がまだ決まっていません。何から手をつければよいですか。

    自社株がいまいくらになるかを計算するところからです。金額がわからないままでは、どの道を選ぶべきかも決められません。

    評価額が数百万円であれば、贈与でも相続でも大きな問題にはなりません。数億円になるようであれば、納税資金をどうするかが最初の論点になります。

    同じ会社でも、業績や資産の状況によって評価額は大きく変わります。まず一度計算し、そのうえで後継者候補と話す、という順番が現実的です。当事務所では、株式評価だけのご依頼も承っています。

  3. Q3

    自社株を渡すのと、社長の座を譲るのは、同じ話ですか。

    別の話です。ただし、事業承継税制を使う場合は、後継者が代表者であることが要件になるため、切り離せなくなります。

    実務では、まず代表を交代し、株は数年かけて少しずつ渡す、という形がよく取られます。株を持ったまま代表を譲れば、経営に対する影響力は残ります。

    一方で、株が先代に残ったまま先代が亡くなると、その株は相続財産になります。後継者以外の相続人にも権利が生じるため、結局そこで揉めることがあります。どこかの時点で株を移す計画は、必ず立てておく必要があります。

  4. Q4

    相続で渡すのと、生前に贈与するのでは、どちらが有利ですか。

    一概には言えません。ただし、これから業績が伸びる見込みの会社では、生前に渡したほうが有利になることが多いです。

    株価が上がる前に渡せば、低い評価額で移せます。逆に、いま一時的に業績がよく、今後落ち着く見込みであれば、待ったほうが安くなることもあります。

    相続には、株を誰が取得するかを遺産分割で決める必要があるという難しさもあります。生前に渡しておけば、少なくとも株の帰属は確定します。

    なお、相続時精算課税を使って贈与した場合は、贈与時の評価額で相続税を計算します。値上がりする見込みの株では、この点が効いてきます。

  5. Q5

    遺言書は書いたほうがよいですか。

    自社株がある方は、書いておくべきです。株が分散すると、会社の意思決定そのものが止まることがあります。

    遺言がない場合、株は相続人の共有になります。共有状態の株は、権利行使者を一人決めなければ議決権を使えません。話がまとまらなければ、株主総会が開けない状態になります。

    ただし、遺言だけでは遺留分の問題は解決しません。後継者以外の相続人には、最低限の取り分を請求する権利が残ります。株の価値が大きい会社ほど、ここが現実的な障害になります。

  6. Q6

    兄弟に平等に株を分けてはいけないのですか。

    株を等分に分けることは、多くの場合お勧めできません。会社の意思決定を、平等の名のもとに止めてしまうことになるためです。

    会社の重要な決定には、株主総会の議決が必要です。二人で半分ずつ持てば、意見が割れたとき何も決められません。三分の二以上の議決が必要な決議は、後継者が三分の二を持っていなければ通りません。

    公平にしたいという気持ちは、株ではなく別の財産で調整するほうが現実的です。それが難しい場合には、経営承継円滑化法の遺留分に関する民法の特例という制度もあります。推定相続人全員の合意と手続きが必要ですが、自社株を遺留分の計算から除く、または評価額を固定することができます。

Q7–Q15

事業承継税制を使うかどうか

  1. Q7

    事業承継税制とは、要するに何をしてくれる制度ですか。

    自社株を後継者に渡すときの贈与税・相続税の納付を、待ってもらえる制度です。免除ではなく、猶予です。

    特例措置では、対象となる株式の全部について、贈与税・相続税の全額が猶予されます。手元にお金がなくても株を渡せる、というのがこの制度の意味です。

    猶予された税金は、後継者が亡くなったときや、次の後継者に同じ制度で渡したときに免除されます。そこまで続けば結果として払わずに済みますが、途中で要件を外れれば、利子税を付けて納めることになります。

  2. Q8

    特例措置の期限が近いと聞きました。いつまでですか。

    特例承継計画の提出は令和9年9月30日まで、株式の贈与または相続は令和9年12月31日までです。

    特例承継計画の提出期限は、令和8年度の税制改正で令和8年3月31日から令和9年9月30日に延長されました。一方、贈与・相続の期限である令和9年12月31日は延長されていません。

    つまり、計画を出す期限と実際に株を渡す期限は、3ヶ月ほどしか離れていません。計画だけ先に出しておいて、実行を先送りする余裕はほとんどないとお考えください。

    この期限を過ぎた場合、特例措置は使えなくなります。猶予割合などが劣る一般措置は残りますが、内容はかなり異なります。

  3. Q9

    特例承継計画は、後継者が決まっていなくても出せますか。

    後継者の氏名を記載する必要があるため、候補者は決めていただく必要があります。ただし、後から変更することはできます。

    計画には、会社の概要、後継者の氏名、承継までの経営の見通し、承継後5年間の経営計画などを記載します。認定経営革新等支援機関の所見の記載も必要です。

    提出後に後継者を変更する場合は、変更の手続きを取ります。ですので、いま完全に固まっていなくても、期限までに出しておくこと自体に意味があります。

  4. Q10

    計画を出したら、必ず制度を使わなければいけませんか。

    使わなくて構いません。計画の提出は、制度を選べる状態にしておくための手続きです。

    実際に納税猶予を受けるかどうかは、贈与や相続の時点で判断します。計画を出しただけでは、何の義務も生じません。

    そのため実務では、使うかどうか決めきれない会社ほど、期限までに計画だけ出しておくことをお勧めしています。出さずに期限を過ぎると、選択肢そのものがなくなります。

  5. Q11

    事業承継税制を使うと、税金は最終的にゼロになりますか。

    条件がそろえばゼロになります。ただし、それは後継者が亡くなるか、次の世代に同じ制度で渡すまで要件を守り続けた場合です。

    言い換えれば、この制度は「会社を続けること」を条件に税を免じるものです。途中で会社を売る、後継者が代表を降りる、といった選択をすると、猶予は打ち切られます。

    数十年にわたって要件を守り続ける前提の制度である、という点は、使う前に必ず理解しておく必要があります。

  6. Q12

    事業承継税制のデメリットは何ですか。

    大きく三つです。将来にわたる手続きの負担、要件を外れたときの負担の重さ、そして会社の選択肢が狭まることです。

    手続きの面では、申告後5年間は都道府県への年次報告と税務署への継続届出が毎年必要です。6年目以降も、税務署への届出を3年に一度続けます。届出を忘れただけで猶予が打ち切られます。

    要件を外れた場合は、猶予されていた税額に利子税を加えて納めます。何年も経ってから打ち切られると、利子税だけでも相当な金額になります。

    また、株を売る、会社を清算する、資産保有型会社に該当する状態になる、といった選択が実質的に取りにくくなります。将来の身動きを一部引き換えにする制度だとお考えください。

  7. Q13

    どういう会社なら使うべきで、どういう会社なら使わないほうがよいですか。

    株価が高く、後継者が決まっていて、事業を長く続ける見込みがある会社には向きます。株価が低い会社や、売却の可能性がある会社には向きません。

    株価がそれほど高くなければ、暦年贈与や相続時精算課税で少しずつ渡すほうが、手続きの負担がなく確実です。制度を使う手間に見合いません。

    将来M&Aで売る可能性がある会社も、慎重に考えるべきです。売却は猶予の打ち切り事由になり得ます。

    当事務所では、まず株価を計算し、制度を使う場合と使わない場合の税額と手続きを並べてお出ししています。そのうえでご判断いただく形です。

  8. Q14

    雇用を8割維持できないと、猶予は取り消されますか。

    特例措置では取り消されません。理由を記載した報告書を都道府県に提出し、確認を受けることで猶予が続きます。

    一般措置では、5年間の平均で雇用の8割を維持できないと猶予が打ち切られます。特例措置では、この要件が実質的に緩和されました。

    ただし、報告書には認定経営革新等支援機関の所見が必要です。何もしなくてよいわけではなく、手続きを踏むことが条件です。

  9. Q15

    個人事業でも同じような制度はありますか。

    個人版事業承継税制があります。事業用の宅地・建物・機械などを対象に、贈与税・相続税の納税が猶予されます。

    法人版と同じく、あらかじめ個人事業承継計画を都道府県に提出する必要があります。対象となる資産や要件は法人版とは異なります。

    個人事業の方の場合、小規模宅地等の特例と比べてどちらが有利かという検討も必要になります。ご事情によって結論が変わりますので、個別にご相談ください。

Q16–Q22

自社株の評価と渡し方

  1. Q16

    自社株の値段は、誰がどうやって決めるのですか。

    相続税や贈与税の計算では、財産評価基本通達という国税庁の定めに従って計算します。売買価格のように交渉で決まるものではありません。

    同族株主が取得する場合は、原則として類似業種比準価額と純資産価額を使います。会社の規模によって、どちらをどの割合で使うかが決まります。

    類似業種比準価額は、配当・利益・純資産の三つを同業種の上場企業と比べて算出します。純資産価額は、会社の資産を相続税評価額に置き換えて計算します。

    いずれも決算の数字を使うため、評価額は年ごとに動きます。ここが、渡す時期を選ぶ意味につながります。

  2. Q17

    上場していない会社の株に、そんなに価値がつくものですか。

    売ることも配当を受けることもできない株に、数億円の評価がつくことはあります。これが事業承継でいちばん困る点です。

    利益を出して内部留保を積んできた会社ほど、純資産が厚くなり、評価額が上がります。堅実に経営してきた結果として、相続税が重くなるという構造になっています。

    そして、その株は市場で売れません。納税資金は別に用意する必要があります。ここを見落としたまま相続を迎えると、会社の資産を取り崩して納税する事態になります。

  3. Q18

    株価を下げてから渡す、というのはどういうことですか。

    評価の計算に使う数字を、適法な範囲で低い年に合わせるということです。利益や純資産が下がった年に渡せば、同じ株でも評価額は下がります。

    具体的には、役員退職金を支給した年、大きな設備投資をした年、業績が一時的に落ち込んだ年などが該当します。

    ただし、評価を下げることだけを目的とした不自然な取引は、否認される可能性があります。事業上の必要があって行うことと、その結果として評価が下がることは、切り分けて考える必要があります。

    また、株価を下げるために利益を圧縮することは、会社の体力を削ることでもあります。税額だけを見て判断すべきではありません。

  4. Q19

    役員退職金を出すと、株価は下がりますか。

    下がります。退職金は損金となり、利益と純資産の両方を減らすため、類似業種比準価額と純資産価額の双方に効きます。

    事業承継の場面で退職金がよく使われるのは、この効果があるためです。加えて、退職金を受け取る先代にとっても、退職所得は給与に比べて税負担が軽くなっています。

    ただし、不相当に高額な部分は損金になりません。実務では功績倍率法などで適正額を検討します。金額の根拠を残しておくことが重要です。

    なお、退職金を出すには実際に退任するか、それに準じる実態が必要です。名前だけ代表を降りて実質的に経営を続けている場合、否認されることがあります。

  5. Q20

    種類株式や属人的株式は、使ったほうがよいですか。

    議決権と財産価値を切り離したい場合には有効です。ただし、定款の変更と登記が必要で、後から戻すのも簡単ではありません。

    たとえば、議決権のない株式を後継者以外の相続人に渡せば、財産としては公平に分けつつ、経営権は後継者に集められます。

    一方で、種類株式を発行している会社は、金融機関やM&Aの相手方から見て理解に手間がかかります。将来の資金調達や売却で不利に働くことがあります。

    導入する場合は、司法書士や弁護士との連携が必要です。当事務所でも、税務の観点から設計に加わります。

  6. Q21

    持株会社を作って買い取らせる方法は、どうですか。

    先代が現金を受け取れるという点で有効な場面がありますが、借入と譲渡所得税が伴います。誰にでも勧められる方法ではありません。

    後継者が設立した持株会社が金融機関から借り入れ、先代から株を買い取る形です。先代は現金を得られ、株は持株会社に移ります。

    ただし、先代には株式の譲渡所得に対する課税が生じます。また、持株会社は事業会社からの配当などで借入を返済していくことになるため、その返済力があることが前提です。

    返済の見込みが立たないまま組成すると、会社全体の財務を痛めます。事業計画と併せて検討する必要があります。

  7. Q22

    分散してしまった株を、後継者に集めることはできますか。

    できます。買い取る、会社が自己株式として取得する、といった方法があります。ただし、価格の決め方で税務上の問題が起きやすい論点です。

    少数株主から買い取る場合、いくらで買うかによって、買い手側に贈与税がかかったり、売り手側に思わぬ課税が生じたりします。

    会社が自己株式として取得する場合は、売り手側で配当とみなされる部分が生じ、税負担が重くなることがあります。個人が売る場合、総合課税となる部分が出るためです。

    所在が分からない株主がいる場合には、会社法の手続きを使って整理できることもあります。状況によって手順が変わりますので、早めにご相談ください。

Q23–Q26

税制を使ったあとの手続き

  1. Q23

    事業承継税制を使ったあと、毎年やることはありますか。

    あります。申告期限から5年間は、都道府県への年次報告と税務署への継続届出が毎年必要です。6年目以降は、税務署への届出を3年に一度続けます。

    この手続きは、猶予が続いている限りずっと必要です。数十年にわたって続くこともあります。

    実務上いちばん多い失敗は、届出を忘れることです。担当者が変わった、顧問税理士が変わった、といったときに抜けます。誰が管理するかを決めておくことが重要です。

  2. Q24

    猶予が取り消されると、どうなりますか。

    猶予されていた税額の全額または一部を、利子税を付けて納めることになります。原則として2ヶ月以内です。

    主な取消事由は、後継者が代表者でなくなること、対象株式を譲渡すること、資産保有型会社・資産運用型会社に該当することとなること、継続届出書を提出しないこと、会社が解散することなどです。

    納期限が2ヶ月と短いため、突然多額の資金が必要になります。制度を使う以上、これが起こり得ることを前提に、社内で共有しておくべきです。

  3. Q25

    猶予された税金が免除されるのは、どういうときですか。

    代表的なのは、後継者が亡くなったときと、次の後継者に同じ制度を使って株を贈与したときです。

    贈与税の猶予を受けていた場合、先代が亡くなると、猶予されていた贈与税は免除され、代わりにその株式は相続税の対象になります。ここで改めて相続税の納税猶予に切り替える手続きを取ることが一般的です。

    このほか、一定のやむを得ない事由により会社が事業を継続できなくなった場合などにも、免除や再計算の定めがあります。適用の可否は事情によりますので、その時点でご相談ください。

  4. Q26

    途中で会社を売ることになったら、猶予はどうなりますか。

    対象株式を譲渡すれば、原則として猶予は打ち切られます。ただし、経営環境の変化を示す一定の事由に該当する場合は、税額を再計算できる仕組みがあります。

    特例措置では、業績の悪化など一定の要件を満たす場合に、譲渡時の対価をもとに税額を計算し直し、差額が免除される取扱いがあります。

    とはいえ、要件は限定的です。将来の売却を選択肢として残しておきたい会社は、制度を使うかどうかの段階で慎重に検討すべきです。

Q27–Q30

後継者がいない場合

  1. Q27

    後継者がいません。廃業とM&Aのどちらがよいですか。

    黒字で、従業員と取引先が残っている会社であれば、M&Aを先に検討する価値があります。廃業は、手元に残る金額が想像より小さくなりがちです。

    廃業では、在庫や設備を処分価格で売り、退職金を払い、原状回復をして、それでも残ったものに清算所得課税がかかります。従業員の雇用も失われます。

    M&Aであれば、事業がそのまま続き、株式の譲渡対価を受け取れます。規模が小さいから売れない、と決めつける必要はありません。

    ただし、売れる状態にするには、決算の内容を整え、社長個人と会社の資産を切り分けておく必要があります。この整理にも、それなりの時間がかかります。

  2. Q28

    M&Aで会社を売る場合、税金はどれくらいかかりますか。

    株式を個人が譲渡する形であれば、譲渡益に対しておよそ2割の税率です。会社が事業だけを譲渡する場合は、法人税の対象となり負担が変わります。

    株式譲渡の場合、譲渡所得は申告分離課税で、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた税率がかかります。ほかの所得と合算されません。

    事業譲渡の場合は、会社に譲渡益が生じ、法人税等の対象になります。そのうえで、その資金を個人が受け取るには配当や退職金の形を取るため、二段階の課税になります。

    どちらの形にするかで手取りが大きく変わります。交渉に入る前に試算しておくべき論点です。

  3. Q29

    従業員に継がせることはできますか。

    できますが、株の買取資金をどうするかが最大の課題になります。従業員に自社株を買う資金があることは、まれです。

    実務では、持株会社を設立して金融機関から借り入れる、段階的に譲渡する、といった方法が取られます。事業承継税制は、親族外の後継者にも使えます。

    また、経営者保証の引継ぎも論点になります。個人保証を求められる状態のままでは、承諾を得ることは難しくなります。金融機関との調整を含めて、時間をかけて進める必要があります。

  4. Q30

    会社を清算する場合、社長の手取りはどうなりますか。

    資産をすべて換金し、債務を返済し、残った財産を株主に分配します。この分配のうち資本金等を超える部分は、配当として扱われます。

    配当として扱われる部分は総合課税となり、他の所得と合算されて累進税率がかかります。株式の譲渡と比べて、税負担が重くなることが多いです。

    清算に先立って役員退職金を支給することで、全体の負担を調整できる場合があります。ただし、支給の時期と金額の妥当性が問われますので、事前の検討が必要です。

Key Dates

数字と期限の早見表

事業承継税制(法人版・特例措置)の主な期限と手続き
項目内容
特例承継計画の提出期限令和9年9月30日まで(都道府県へ提出)
株式の贈与・相続の期限令和9年12月31日まで(延長されていません)
猶予の対象対象となる株式の全部について、贈与税・相続税の全額
後継者の人数最大3名まで
申告後5年間の手続き都道府県へ年次報告(年1回)/税務署へ継続届出(年1回)
6年目以降の手続き税務署へ継続届出(3年に1回)
主な取消事由代表者でなくなる/対象株式の譲渡/資産保有型会社等への該当/届出の未提出 ほか

一般措置は期限のない制度として残りますが、猶予割合や対象株数など、内容は特例措置と異なります。個人版事業承継税制は、対象資産と要件が別に定められています。

Flow

事業承継のご相談をいただいた場合の流れ

制度を使うかどうかの話は、後半です。まず、いくらの財産をどう動かす話なのかを、数字で確かめるところから始めます。

  1. STEP 01

    現状のお聞き取り

    株主構成、後継者の状況、会社と個人の資産、ご家族の状況を伺います。

  2. STEP 02

    自社株の評価

    直近の決算をもとに、いま株を渡した場合の評価額を算定します。

  3. STEP 03

    選択肢の比較

    生前贈与・相続・事業承継税制などについて、税額と手続きを並べてお出しします。

  4. STEP 04

    方針の決定と計画

    ご家族と後継者を交えて方針を決め、必要な計画書や届出を準備します。

  5. STEP 05

    実行と、その後の管理

    贈与・申告を実行し、その後の年次報告・継続届出まで継続して管理します。

Office

齋藤嘉彦税理士事務所

代表者名
齋藤 嘉彦(税理士)
開業
2026年5月
所在地
〒171-0021 東京都豊島区西池袋2-36-10 ACN池袋ビル5F
面談方法
オンラインでの面談に対応しています。ご来所での面談は承っておりません。
対応業務
税務顧問、税務申告、相続税申告、株式評価、組織再編、M&A関連財務・税務、事業承継コンサルティング ほか
対応エリア
東京都23区および近郊のほか、オンライン面談により全国からのご相談に対応します。

Contact

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いくらになるかをご覧ください

事業承継の判断は、金額がわかってからでないと始まりません。株式評価だけのご依頼も承っています。制度を使うべきでないと考えた場合は、その理由とともにお伝えします。お問い合わせフォームより、会社の状況をお聞かせください。

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